八支則
八支則(Eight Limbs of Yoga / Ashtanga): ヨーガ・スートラに記されたヨガの8段階の実践体系。サンスクリット語で「アシュタ(8)」+「アンガ(肢・段階)」を意味する。倫理・身体・呼吸・精神の実践を段階的に統合する枠組み。
八支則とは
古代インドの聖者パタンジャリが編纂したとされるヨーガ・スートラ(成立年代は諸説あり、紀元前2世紀〜紀元後5世紀の間とされる)に記述されたヨガの体系。ヨガの最終目的であるサマーディ(三昧)に至るまでの8段階の実践を定めている。
現代のヨガスクール(RYT200など)では、ヨガ哲学・倫理の領域(30時間)でこの八支則を中心に学ぶ。ポーズ(アーサナ)は8段階のうちの第三段階であり、ヨガの全体像における一部であることを理解する枠組みとなる。
8つの段階
1. ヤマ(Yama)— 禁戒
他者・社会との関係における倫理的規範。5つの項目がある:
- アヒンサー(非暴力): 身体的・言語的・精神的な暴力の禁止
- サティヤ(正直): 真実を語ること
- アスティヤ(不盗): 他者のものを奪わないこと
- ブラフマチャリア(節制): エネルギーの浪費を避けること
- アパリグラハ(不貪): 必要以上に所有しないこと
2. ニヤマ(Niyama)— 勧戒
自己との関係における実践的規範。5つの項目がある:
- シャウチャ(清浄): 身体と心の清潔を保つこと
- サントーシャ(知足): 現状に満足すること
- タパス(苦行・鍛錬): 自己鍛錬の実践
- スヴァディヤーヤ(自己学習): 経典の学習と自己省察
- イーシュヴァラプラニダーナ(自在神への帰依): 自分を超えた存在への信頼
3. アーサナ(Asana)— 座法・ポーズ
安定して快適な身体の姿勢。現代のヨガクラスの中心的な実践。詳細はアーサナを参照。
4. プラーナヤーマ(Pranayama)— 呼吸法
呼吸のコントロール技法。詳細はプラーナヤーマを参照。
5. プラティヤハーラ(Pratyahara)— 感覚の制御
外部の感覚刺激から意識を引き離し、内側に向ける実践。外部環境に反応し続ける心を静め、内観の準備を行う段階。
6. ダーラナー(Dharana)— 集中
意識を一つの対象(呼吸、マントラ、身体の一点など)に固定する実践。瞑想の前段階にあたる。
7. ディヤーナ(Dhyana)— 瞑想
集中が途切れなく持続する状態。ダーラナーが深まり、対象との間に中断のない注意の流れが生まれた状態。詳細は瞑想を参照。
8. サマーディ(Samadhi)— 三昧
瞑想がさらに深まり、主体(瞑想する者)と客体(瞑想の対象)の区別がなくなった状態。八支則の最終段階。
よくある質問
八支則は順番通りに実践するものですか?
古典的な解釈では段階的に進むものとされるが、現代の実践では必ずしも順序通りに行う必要はないとする解釈が一般的。多くの実践者はアーサナ(第三段階)から始め、同時にヤマ・ニヤマの倫理的実践も日常生活で意識する。
アシュタンガヨガと八支則のアシュタンガは同じですか?
語源は同じだが、文脈が異なる。八支則の「アシュタンガ」はパタンジャリの哲学体系を指す。「アシュタンガヨガ」として一般に知られるスタイルは、K.パタビジョイスが20世紀に体系化した動的なヨガの流派であり、八支則の思想を取り入れつつも、独自のシークエンスを持つ別の実践体系。
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